「1000年に一度の美少女」と呼ばれるRev. from DVLの橋本環奈さん。世間の注目を一気に集めた彼女も、はじめはひとりの地方アイドルでした。しかし、2013年暮頃にある写真をきっかけに日本中の注目を集めることに。その彼女の写真を撮影したのが、博多のタケという一人のカメラ小僧でした。
カメラ小僧とはそもそもどんな存在なのか。なぜ撮影活動を始めたのか。現在どんな活動をしているのか…?今回は、博多のタケさんへのインタビューを通して、カメラ小僧の秘密に迫りたいと思います。
カメラ小僧とは?
アイドルに限らず、イベント会場に行くと、カメラを片手にひたすらシャッターを切り続ける人々を見かけることがあります。彼らこそがカメラ小僧(通称:カメコ)と呼ばれる人々です。
カメラ小僧の定義とは?
カメラの購入できる所得層が拡大したことにより、業務用途が大半だったカメラが徐々に趣味の領域を拡大していった。このことで若者にも購入が可能な品となり、写真撮影を行う年少者に対して「カメラ小僧」の名がついた。(Wikipedia)
カメラ小僧は、こういった形で認知されています。つまり、広くは、カメラが好きな人ということになりそうです。
また、写真家として世界的に活躍している篠山紀信さんが、女性のポートレートを中心に発表する自分自身と、ジャーナリズム的な写真家を区別するために、<スケベ小僧>から取ってカメラ小僧と自称したことが始まりという説もあります。
そんな説が混ざり合い、カメラ小僧=年少者という認識も薄れ、今では主に女性を被写体に撮影している人という定義で広まっています。さらに近年では、カメラ小僧そのものの細分化も始まっているそうです。
タケさん「アイドルとかコスプレした女の子とか以外にもレースクイーンとか、たくさんの領域にわかれています。兼任している人もいなくはないけど、少ないですね。単純にイベントの時間が被ってしまったり、仕事とかの兼ね合いもあるので。」
タケさんはどんなカメラ小僧?
主にアイドルを撮影しているタケさん。タケさんもまたカメラ小僧に違いありませんが、果たしてどんな活動をしているのでしょうか?
タケさん「僕は撮影だけをする専任カメコではない、沸カメコっていうタイプですね。ライブにはカメラに集中している方もいますし、ビデオで撮影をしている人もいます。そんな中、僕はライブでみんなと一緒に盛り上がります。カメラを構えるタイミングは、アイドルの子が激しく動いたりするとき。つまり、スピード感があるときにシャッターを切るんです。」
音楽に合わせてライブを楽しむタケさんは、振付とメンバーごとの見せ場を覚えています。そうでなければ、盛り上げと撮影の行き来はできません。そのため、なんどもライブに足を運んで、撮影のタイミングを覚えるそうです。
カメラ小僧とは、もちろんカメラを片手にアイドルの写真を撮る人ではあります。けれど、会場の雰囲気を一緒に作るファンとして、写真だけでなく一緒にライブを楽しむ姿勢があるからこそ、いい写真を撮れるのかもしれません。
アイドルのライブで、カメラ小僧は何をしてるの?
それでは、タケさんがどんな風に撮影しているのかみていきましょう。ライブが始まる前から準備は始まっているそうで…。
ライブ前はカメラ調整
まず、会場の明るさに合わせて、カメラの設定を調整します。ダンスによっては前後左右に大きく動くものがあり、場所によって光の加減も変わってくるため、どこでも綺麗に撮影できるように準備します。
タケさん「ライブの前にカメラを調整して、それぞれの場所での設定を頭に入れておくんですけど、野外だと雲がかかったり急に晴れたりで、光の加減が変わってしまうので大変ですね。屋内では演出の関係で明かりを落としていたりするので、何百枚も撮っても一枚も良いのが撮れていないってこともあります。」
タケさんにとって一番いい天気は、白い雲が空一面を覆っている曇りの日。程よく一定に明るいからだそうです。
ライブ中はカメラを片手にライブを楽しむ
タケさんは、撮影に専念するのではなく、ライブを一緒に楽しみながら、ここぞという時にカメラを構えます。しかし、シャッターチャンスはなにも大きく動いたときだけではありません。
タケさん「振り付けを覚えて一緒に楽しみながらライブに参加していると、いざ撮影するときにアイドルの子がこっちを見てくれたりします。そういう時にもシャッターを切ります。」
奇跡の一枚と呼ばれる写真は、アイドルとカメラ小僧の協力プレーによって成し遂げられます。また、タケさんはアイドルに対してだけでなく、ファンに対する心配りも忘れません。
タケさん「僕は情報発信をしているという意識でブログをやっているので、誰か一人だけを撮影するということはしません。僕のブログを読んでくれている人の中には、グループ全体を応援している人も、僕とは違う子を応援している人もいると思いますから、そういう人たちのことを考えて、なるべくグループ全員のいい写真を撮るように心がけています。アイドルの子たちからも「ブログに私の写真がなかった」って言われちゃいますから。」
いつも多くの写真がアップロードされるタケさんのブログは、どんなに人数の多いグループでも均等に写真が撮影されています。その分、グループ別の振り付けを覚えるのは大変らしいですが、アイドルの協力もあっていい写真を取れるそうです。
しかし、聞けば聞くほどタケさんは、アイドルとしっかりとした関係性を築いている様子。どのように仲良くなるのでしょうか?
ライブの後はアイドルとの交流&ブログ!
カメラ小僧はライブで写真撮影するだけではありません。アイドルのファンとして、物販に足を運んだり、ブログにアップする写真を選別したりと、ライブ後の活動も活発です。
アイドルの面白さは応援にあり!
博多を拠点に活動するタケさんは、一般的には認知されていない無名のローカルアイドルのライブにも足を運びます。ライブや物販でのアイドルとの距離の近さに魅力を感じているからだそう。博多にはAKBグループのひとつHKT48もありますが、そんなに違うんでしょうか。
タケさん「HKT48さんのライブにも一度行かせてもらったんですけど、やっぱりアイドルとの距離がありますよね。ステージも豪華ですし、やっぱりAKBという母体があるので、しっかりしたファンがすでにいます。ですが一方で、ローカルアイドルはメンバーがファンの数よりも多いということもあるため、応援のしがいがあるんです。」
まさにこれから駆け上がっていくアイドルを育てるのは、なにも運営スタッフだけではありません。ファンもまた彼女たちを育てていきます。それがカメラ小僧をはじめとするファンのエネルギーになります。
タケさん「ローカルアイドルは顔見知りになりやすいです。物販に行って、最初は友達感覚で初めましてって感じで挨拶をします。それで例えば、ダンスが得意そうならダンスを、歌を頑張ってれば歌を褒めたりして、彼女らのモチベーションが高まるようにしています。物販とかってアイドルの子と話せる時間が基本的には決まっているんですけど、後ろがいなかったら結構話せるユニットもたまにあるんですよ。それに物販の購入が、その子たちのためになるなら嬉しいです。」
アイドルとの交流は、ファンのためだけの時間ではないはず。自分たちを誰よりも応援してくれているファンの存在はアイドルの力にもなっています。ファンとのささやかなコミニュケーションが、厳しいレッスンの支えになったり、舞台に立つ緊張を和らげてくれるに違いありません。
そして、その信頼関係がいい写真へつながります。
写真の選び方にもひと工夫!
一日で500枚以上の写真を撮影するタケさんは、ブログへアップする写真の選別方法にもこだわりがありました。
タケさん「だいたい30分のライブで、ブログにアップロードするまでに2〜3日を要します。写真を選ぶ前に、出演していたアイドルの子たちのブログを見て、頑張っていたところをチェックして、その情報を元に写真を選ぶからです。」
自分がいいと思う写真にアイドルの頑張りが加わることで、よりそのアイドルの魅力を伝える写真を選べるということです。
一枚の写真が、アイドルの力になると信じているからこそ、これだけの手間暇をかけることができるんですね。
タケさんとアイドル
カメラ小僧になるきっかけはひとそれぞれです。けれど、多くはカメラが好きだから、という入り口から入るのではないでしょうか?しかし、タケさんはカメラ自体には興味がなかったようで、きっかけとなったのは、ある強烈な出会いでした。
中元すず香さんとの出会い
様々な個性を持ったアイドルが現れては消えていく今日この頃。それでも、アイドルとしての絶対条件をひとつ上げるとしたら、それは「初見で心を鷲掴みにすること」ではないでしょうか。
タケさん「アイドル自体はPerfumeから入ったんです。それでアクターズスクール広島というPerfumeが在籍していたスクールに見学に行ったら、中元すず香ちゃんに出会って衝撃を受けました。最初は、ビデオで彼女の姿を収めようと思ったんですけど、自分の中でしっくりきませんでした。そこで、これは写真で残していくしかないなと思って、カメラを手に取りました。」
中元すず香さん(SU-METAL)は、現在「BABY METAL」というグループで、世界を股にかけて活躍しています。タケさんが出会った当時、彼女はまだ小学生。当然、ほとんどの人が彼女の存在を知りませんでした。しかし、それがいまやレディー・ガガとも共演を果たすなど、世界中を魅了しています。
未来のトップアイドルは、まだ日の目を見ていない時ですら、確実にファンの心を掴むようです。そして、タケさんもまた心を掴まれた一人でした。
タケさんが語るスターの素質
そんなタケさんの原点である中元すず香さんと、タケさんが送り出した橋本環奈さんのある共通点を語ってくれました。
タケさん「かわいい子・すごい子はたくさんいる。メジャーデビューしていなくても、それは変わりません。でも、みんなきっかけが掴めないんです。」
アイドル業界は戦国時代と比喩されるほどに、過酷な生存競争が繰り広げられています。頭一つ飛び抜けているだけでは、どうしても時代の寵児にはなれません。
タケさん「きっかけは周りが作ってくれるかもしれない。けど、それを掴むにはレッスンをしっかりしていないと無理なんです。だから、日頃の練習はしっかりとしていないといけません。今、活躍している子たちは本当にみんな一生懸命だった。そして、すず香ちゃんも環奈ちゃんもいつも頑張っている子でした。」
トップスターへのチャンスは、どこに転がっているかわかりません。それこそ、ひとりのファンがきっかけになるほどに。だからこそ、スターには弛まぬ努力が求められるのだと思います。
博多のタケおすすめアイドル!
数多くのアイドルのライブに足を運んでいるタケさんに、おすすめのアイドルを聞くことができました。関東・関西・福岡と都市別に教えていただけたので、ぜひライブなどある際は駆けつけてみてください!
関東のおすすめアイドル
グループ名 | 紹介 | おすすめ |
---|---|---|
まなみのりさ | 2007年8月8日「I DOL DAMA☆C」でインディーズデビュー | 全員 |
アイドルネッサンス | Sony Music Artistsが創業以来初めて立ち上げたアイドル | 石野理子 |
つりビット | 釣りに打ち込むことを誓った異色のアイドルユニット | 安藤咲桜 |
ピンク・ベイビーズ | ピンク・レディーのナンバーを歌い踊り継ぐユニット | 吉田亜衣奈 |
関西のおすすめアイドル
グループ名 | 紹介 | おすすめ |
---|---|---|
Dancing Dolls | デビュー以前から注目を集めていた本格派ダンスボーカルユニット | Miu |
ミライスカート | 京都から発信する“はんなり” & “ポップ” なアイドルユニット | 林奈緒美 |
福岡のおすすめアイドル
グループ名 | 紹介 | おすすめ |
---|---|---|
きゃら♡ふる | 橋本環奈所属の「Rev.from DVL」の妹分ユニット | 全員 |
四色定理 | 2015年8月2日デビュー予定の新生アイドルユニット | 井上りな |
Smile | 「歌とダンスと笑顔で筑豊から元気を発信します!」がコンセプト | 廣瀬麻乃 |
NEO☆学院 | 2015年2月22日にデビューしたばかりの新しいユニット | 藤 菜々子 |
乙女の純情 | 【平成のやまとなでしこ】がコンセプト | 恋子 |
一緒に夢を追いかけよう
夢に向かって懸命に頑張っている姿はいつでも人の心を打ちます。そして、アイドルにとって、その応援こそが力になります。私たちが応援すればするほど、彼女たちの夢も他また一歩近づいてきます。
楽しみ方は人それぞれですが、今の一瞬を切り取って記録に残せるのがカメラのいいところです。これを機会に初めてみてはいかがでしょうか?
これからカメラ小僧になろうとしている人に向けて
ファンとは、運営とともにアイドルを育てる一翼を担う存在です。人一倍熱い思いを持っているタケさんは、これから、カメラ小僧として活動をしようとする人に対してメッセージを送ってくれました。
タケさん「最初はたくさん撮って、たくさん失敗しよう。そして、カメラを撮ることばかりに必死になるんじゃなくて、ライブを一緒に楽しみましょう。」
ライブとは、アイドルだけで作り上げるものではなく、アイドルが作った波をファンが大きくして、会場全体で空気を作り上げるものです。誰かが一人でも欠けてしまえば成立しません。
タケさん「そして、物販とかに行って交流しよう。あとは、必死になりすぎないように。一般の人とか小さな子供とかも会場にはいることがあります。そういう人たちも全部ひっくるめてライブですから、喧嘩とか迷惑にならないようにしましょう。」
ささやかな交流や、あるいはちょっとしたトラブルも、その日を彩る思い出になるはず。そして、それを一緒に楽しむことが、アイドルの自信になり、成長の糧になるはずです。
取材協力 博多のタケさん
ローカルアイドルを中心にカメラを片手に多くのアイドルのライブに参加し写真の撮影をしている。タケさんが撮影したRev. from DVLの橋本環奈さんの写真がまとめサイトで拡散され、ブレイクのきっかけが生まれた。
博多のタケさんのブログ:宇宙海賊キャプテン博多ロック
(image by PresenPic123ぱくたそ12)